トライアンフ リコール68件の全記録と傾向

国土交通省の自動車リコール届出情報から、トライアンフ分の68件(1998年4月24日〜2026年6月19日届出)を全件取得して読みました。国内の対象台数は合計25,354台です。装置別の最多は「配線」の7件で、対象台数が多い順に並べると上位3件はすべて配線でした。この記事では、どの装置に何が起きてきたのかを整理し、中古車を検討するときに何を確認すればよいかまでをまとめます。

なお本記事の数値と引用は、すべて国土交通省の届出情報から機械的に集計したものです。個々の記述には届出番号を添えてあるので、元の届出まで辿って確認できます。

データの範囲

  • 対象: 国土交通省リコール届出情報のうち車名「トライアンフ」の全件
  • 期間: 1998年4月24日 〜 2026年6月19日(届出日)
  • 件数: 68件 / 国内対象台数 合計25,354台
  • 1件あたりの対象台数は中央値135台、最大3,935台

対象台数の中央値が135台なのに最大が3,935台ということは、大半は小規模で、ごく一部に非常に大きなものがあるという分布です。台数の大きいものほど、量産モデルの設計に起因していると考えられます。

最多の装置は「配線」

装置別に数えると次のようになります(上位のみ)。

装置 件数
配線 7
冷却装置 4
主ブレーキ一般 3
ABS 3
車体 3
ショックアブソーバ 3

件数で最多なのは配線の7件です。さらに対象台数で並べ替えると、上位3件がすべて配線でした。

届出日 対象台数 主な対象
2025/03/27 3,935台 ストリートツイン、ボンネビルT100/T120、スクランブラー900ほか
2026/04/28 3,753台 同上
2019/04/19 2,494台 ストリートツイン、T100、T120、ストリートカップほか

件数でも台数でも配線が突出しています。

水冷ボンネビル系で4回繰り返されている

配線の7件を届出日順に並べると、特定の車種系統に集中していることが分かります。ストリートツイン/ボンネビルT100・T120/ストリートスクランブラー/スクランブラー900といった、いわゆる水冷ボンネビル系が、2019年・2020年・2025年・2026年の4回、配線を理由にリコールされています。

内容は2つの時期に分かれます。

2019年・2020年 — ハンドル操作でハーネスが引っ張られる系統

2019年4月19日の届出(届出番号1228280、2,494台)は、メインワイヤーハーネスとクラッチケーブルを保持するガイドの形状が不適切で、ハンドルを左右に切った際にハーネスが引っ張られ、断線して走行中にエンジンが停止するおそれがあるというものでした。

2020年10月20日の届出(届出番号1231120、596台)も、ハンドルを左右に切った際にハーネスがフレームの突起部に接触し、被膜が破れて短絡するというもので、症状はよく似ています。ただし原因はガイド形状ではなく配索(引き回し)とされており、別の届出として処理されています。

2025年・2026年 — 発電機まわりのコネクターと火災のおそれ

2025年3月27日の届出(届出番号1239720、3,935台)は、発電機のコネクターの配策が不適切で、コネクター内のピンが発熱し、隔壁を貫いて隣接ピンと接触して短絡、最悪の場合火災となるおそれがある、というものです。

その約13か月後、2026年4月28日の届出(届出番号1241840、3,753台)でも、発電機側ハーネスとメインワイヤーハーネスを繋ぐコネクタ端子のメッキが摩耗して腐食し、導通不良で発熱してコネクタが溶損、最悪の場合火災となるおそれがあるとされています。

この2件は、届出上の対象車種が6車種すべて同一で、部位も同じ発電機まわりのコネクター、いずれも火災のおそれとして届け出られています。ただし届出上の原因は異なります。2025年は配策によりコネクター内に圧力がかかること、2026年は端子表面のメッキ摩耗と腐食です。届出情報からは、前者の改善措置で後者が防げたかどうかは読み取れません。ここは推測せず、事実として「同じ部位で13か月の間に2度、別の原因により火災のおそれが届け出られた」とだけ記しておきます。

火災のおそれは5件、うち直近2年に集中

68件のうち、届出文中に「火災」の語が現れるものは5件、対象台数は合計9,334台です。

届出日 対象台数 装置
2004/06/09 48台 エンジン本体
2004/08/13 839台 燃料ホース/パイプ
2016/11/28 759台 燃料ポンプ
2025/03/27 3,935台 配線
2026/04/28 3,753台 配線

台数で見ると、火災のおそれがあるとされた9,334台のうち7,688台、率にして約82%が直近2年の2件に集中しています。これは水冷ボンネビル系の販売台数が多いことの反映でもあり、危険性が近年高まったと解釈できるものではありません。ただし、対象台数の規模としては明確に大きいということは言えます。

このほか「走行中にエンジンが停止する」おそれが記載されているものが11件、合計5,679台ありました。

中古車を検討しているなら

リコールは無償で改善措置が受けられますが、実施済みかどうかは車両ごとに異なります。前オーナーが届出を知らないまま乗っていた場合、未実施のまま流通していることがあります。

確認の手順はこうなります。

  1. 車検証で車台番号を確認する
  2. 国土交通省のリコール検索で、その車種の届出があるか調べる
  3. 正規ディーラーに車台番号を伝え、未実施のリコールが残っていないか照会する

2の段階では確定できない点に注意してください。届出情報には対象となる車台番号の範囲が記載されていますが、範囲内であっても仕様によって対象外になる場合があると国土交通省自身が注意喚起しています。最終的な判断は必ず正規ディーラーに確認してください。

特に水冷ボンネビル系(ストリートツイン、ボンネビルT100/T120、ストリートスクランブラー、スクランブラー900、スピードツイン900)の中古車を検討している場合、2025年と2026年の配線リコールは対象台数が大きく、年式によっては該当する可能性があります。購入前の照会を強くおすすめします。

まとめ

  • トライアンフの国内リコールは1998年以降68件、対象25,354台。装置別の最多は配線の7件で、対象台数の上位3件もすべて配線
  • 水冷ボンネビル系は2019・2020・2025・2026年と配線で4回リコールされている。直近2件は発電機まわりのコネクターで、いずれも火災のおそれとして届け出られた
  • 中古車では車台番号を控えて正規ディーラーに照会するのが確実。届出情報だけでは対象かどうかを確定できない

出典: 国土交通省 自動車リコール届出情報(https://renrakuda.mlit.go.jp/renrakuda/recall-search.html)。2026年8月15日時点で取得したデータに基づきます。最新の情報は必ず出典元でご確認ください。

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